■噂のWiFi Finder
海外からトンでもない製品がやってきた。公衆無線LANサービスの電波の強度を調べることのできる検知器、その名も「WiFi Finder(ワイファイファインダー)」だ。2.4GHzの電波が出ているエリア、しかもBluetoothなどの無線LAN以外の電波は除去して判断できるという。前評判どおりなら、これはモバイルライフの必需品になるのだが・・・
■製品の概要
公衆無線LANサービスの拡大によって、PHSに変わる通信手段としても検討に値する時代になった。だが、両者を比べたときに圧倒的にPHSが有利なポイントがある。サービスエリアの問題だ。その広さの違いもさることながら、エリアの中にいるのかどうかの判断のしやすさが無線LANに対するアドバンテージとなっている。
逆に言えば、無線LANのエリアにいることが簡単にわかるようであれば、通信手段としての能力は無線LANがはるかに上ということだ。そこで、携帯電話やPHSのアンテナバー表示のように、無線LANの電波の強さや圏外を表示する装置があると便利。もちろんパソコンを起動すればそうしたユーティリティは当然のようにあるのだが、外出中のバッテリー消費を極力おさえたいモバイルユースにとって、まさに諸刃の剣となる。今回紹介するWiFi Finderは、そんな悩みを一気に解決する商品だ。
米ケンジントンの開発したWiFi Finderは、軽量でコンパクトを売り物にしたホットスポット検知器として米国向けに販売されている。ウェブ上でオンライン販売を行っているケンジントンだが、同製品の日本向け販売はしておらず、パソコンショップの輸入品販売などを経由して入手するしかない。このことから「日本での使用が認めらていないのではないか?」という疑問もわくが、そもそも2.4GHz帯は免許を不要とする帯域であり、電気通信を目的とせず既存の通信網とも接続されない本機では、公式機関の認定の取得は必須ではない。悪く考えてもグレーゾーン止まりで「町中で試したとたんにすぐ逮捕」ということではなさそうだ。
さて、製品そのものはクレジットカードサイズの大きさで、一昔前のポケットベルといったところ。見た目の割には意外と軽く、中身はボードが1枚だけのシンプルな構造となっている。バッテリーは内蔵のボタン電池2個で供給され、電池寿命はおおよそ1年とのこと。操作部はボタンが一つだけで、電源は自動的にオンオフされる。操作性にはかなり優れていて、このあたりに日本製品にはない、合理的なセンスを感じる。
パッケージの同梱物は、本体の他に、取扱説明書(英語)、キーチェーンリングがある。キーチェーンリングは本体に取り付けて、いわゆるキーホルダーとして使うための部品。単体で持ち歩いたり、携帯電話用のストラップを使うのなら、このリングを使う必要はない。こちらもまた、ある意味で日本製品にはありえないアクセサリーだ。
動作中には赤と緑のLEDが点滅、もしくは点灯し、無線LANの電波の状況を知らせてくれる。インタフェースとしては単純だが、ビギナーにとってあまり優しいものではなく、かといってプロユースの詳細な情報が得られるわけでもない。仮に液晶表示がついて、検知した電波のESS-IDまで出るようになれば、ますます便利に使えそうなのだが、どっちつかずなのが残念である。
■機能は期待はずれ
パッケージを開けて、無線LANを利用中の事務所の中でさっそくボタンを押してみた。赤いLEDがすばやい点滅を繰り返している。説明書によればサーチ状態らしいが、一向に緑のLEDが点く様子がない。ちなみにこの事務所には802.11a/b/gとBluetoothの電波が飛んでいる。WiFi Finder自体、802.11gには正式対応していないとのことだが、ドラフト仕様のアクセスポイントでは接続実績もあり、おそらく動作するだろうと説明書にも書かれている。事務所ではWEPは使用していないのだが、MACアドレスによる接続制限をかけていたのがいけないのかと、規制を解除しても変化はなかった。
それならば、実際にホットスポットに出かけるまでと意を決して外出してみると、最寄の駅に到着するまでの間に、いくつか反応するポイントが見つかった。電波の強さによって最大3つのLEDが点くようだが、2つの点灯である。どこかの家庭や事務所からの漏れであろうか。残念ながらパソコンを取り出せる環境になかったため、ESS-IDの確認などはできなかった。
横浜駅にて停車中の電車の中でもLEDが点灯。これがどこから出ているのかは不明。
とりあえずWiFi Finderが壊れていないことはわかったので、その足で六本木ヒルズに向かってみた。ここは、Bizportalが運営する「iSpot」として、公衆無線LANサービスを提供中のスポットだ。Bizportalならば事前登録が不要で、オンライン登録によって当日のみの利用が可能になるから、お試しとしては最適だと判断したのだ。ところがこの判断は間違っていたのかもしれない。試験サービス中のYahooBBモバイルやフリースポットで試すべきだった。
六本木ヒルズに到着してから、手元のCLIE UX50でオンライン登録を済ませ、利用できるようにしたはずの無線LANだが、肝心のWiFi Finderが一向に反応しない。確かにESS-IDとWEPを入力しないと電波を検出できないサービスはいくつか存在するので、仕様上は仕方のないことといえばそれまでなのだが、本来の役目を果たせていないという点からいえば、これではまるで使い物にならない。
六本木ヒルズは、広範囲に無線LANのアクセスポイントが設置されているが、建物自体の造形が複雑なこともあり、無線LANの使える場所がかなり限定されてしまっている。こういうケースでこそ、どこで無線LANが使えるのか簡単にわかるツールの出番なのだが、完全に期待はずれの結果となってしまった。マクドナルドやミスタードーナツのような狭い店内であれば、わざわざベストのポイントを探す必要もないのだから。
インターネットで公開されている使用レポートなどを見ていると、この使えないケースについてはほとんど言及されていないようだ。わかりきった上で使われているのか、あるいは筆者のWiFi Finderだけがおかしいのか、ここらも使っていて今ひとつ不安な点である。
最近になって国内でも取扱店が増え、ケンジントンの代理店である七陽商事や、シャープが運営するKutikomiショッピングからの購入も可能になっているだけに、気軽に買ってしまってから無用の長物とならぬよう、慎重に検討をされることをお勧めする。
(江戸川/モバイルプレス03冬号)
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