NTTドコモ R&Dセンター探訪記

 ※日経ネットブレーン(2000年7月号)掲載原稿に加筆

 「実際にW-CDMAの電話機を見たい!」
 ・・・ということで編集部一行がたどり着いたのは,神奈川県横須賀市にあるNTTドコモの研究施設「R&Dセンター」。横須賀市と言えば最近はもっぱら「hide記念館」の建設で話題だが,R&Dセンターがある「横須賀リサーチパーク」、通称YRPも負けてはいない。

 郵政省と横須賀市,それに京浜急行が協力して開発したというこの地域は,日本のシリコンバレーを目指したというだけあって,技術者や開発者にとってかなり恵まれた環境を提供する。何しろNTTをはじめとして,ドコモやコミュニケーションズなどのNTT関連企業,松下通信工業やエリクソンなどのメーカーが集結した,情報通信分野の最先端地域となっているのだ。そしてこの地域に新しく命名される予定の「テレコムヒルズ」は現在,横須賀市によって商標登録中だという。

■次世代携帯が中心のR&Dセンター
 NTTドコモのR&Dセンターは,このテレコムヒルズの中でも集客能力は群を抜き、なんと月間2000人もの人が見学に訪れるという超人気スポットだ。国内外の業界関係者はもちろんのこと,近所の小学生から遠方のお年寄り団体までやってくるという。見学用には約1時間ほどの巡回コースができていて,ビデオを見たり展示ホールでパソコンに触れたりしながら,身近な存在の携帯電話について学べるというわけだ。お台場のドコモタウンのような娯楽施設ではないのだが,展示ホールの中にあるものをすべて見ていくと,軽く8時間くらいはかかってしまうというほど,盛りだくさんなコンテンツが用意されている。

 R&Dセンターには約700名のドコモ社員を含め,総勢で2700名ほどの関係者が出入りしている。そのうちの約7割がW-CDMAに関係しているという,まさにW-CDMAの総本山である。展示ホールの見所ももちろんW-CDMAだ。実際にW-CDMAの電話機を使って,音声通話やテレビ電話を体験できるコーナーが用意されている。幕張や有明の展示会などでもすっかりお馴染みになったあのセットである。ではさっそくということで,我々もこのW-CDMAに触れてみることにした。

■W-CDMAを体験!
 まずは音声専用の端末で,音質をチェックしてみる。通話の相手となるのは家庭の電話機を想定したアナログ電話だ。電話機そのものはさすがに旧タイプのデザインとなっていて,これといって特に見るべきものはない。あくまでも試作品という位置づけだ。W-CDMAでは最高2Mbpsという伝送速度が提供されるが,実際に音声通話に使われるのは8kbpsである。これは現行のデジタル携帯電話(TDMA方式)とほぼ同じ品質ということ。ただしCDMA方式を採用することによって,電波の干渉や雑音を押さえる効果があることから音質はかなり向上しているはず。

 さて,我々の感想はといえば,「思ったよりも感動が少なかった」という点につきる。「現在の携帯電話に比べたら良くなった」と言えないこともないのだろうが,すでにcdmaOneやPHSを体験している人は満足できないのではと,一抹の不安がよぎる。もっともここにあるのは「試作品」だと,自分に言い聞かせてみるのだが。

■テレビ電話には期待が高まる!
 W-CDMAといえば,やはりテレビ電話を使ってみなければいけない。すでに京セラから「ビジュアルホン」というテレビ電話型のPHSが発売されている。32kbpsのため動画のコマ数としてはやや力不足を感じるものの,使ってみればなかなか面白い製品である,売れ行きとしてあまりパッとしないのは,1台あたりの価格が高いことと,2台買わないと遊べないということなのだろう。

 W-CDMAでは64kbpsを使うということなので,画質や動きのスムーズさにも期待がかかるところだ。さてこちらの感想としては「これなら使える」という一言。もちろんテレビを見るようなスムーズな動きではないのだが,相手の顔を見ながら話をするにはこの程度で良いように思われる。正直言って,携帯電話にこれ以上のクオリティを望むのは酷と言うものだろう。

 この他にも,ノートパソコンを接続した状態でのデータ通信なども試してみたかったのだが,残念ながらそういった環境は用意されていなかった。それにしても次世代の製品を次々と実現してくれるドコモのR&Dセンター。2001年のサービス開始に向けて,再び訪れたくなる,楽しい穴場スポットなのであった。
(江戸川)

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